カメラを弄り始めた頃は、露出の記録を克明に取っていた。いったい、それがなんの役に立つのか、あるいは役に立てるのかも知らずに、ただそうすることが恰好いいのだと思っていた。意味がない、というか、意味を持たせることが自分にはできない、と気付いてからはすっぱり止めた。絵を見ればおおよその絞りは判るようになったというのもある。もちろんほんとの理由は、わけが判らなくなって飽きたからだ。
同じように昔はやたら交換レンズを携帯していた。とっかえひっかえレンズを付け替えて、1本のフィルムで3本も4本もレンズを替えて撮ったこともある。だがじきにそれも飽きた。というよりどのコマをどのレンズで撮ったのか判らなくなってしまったからだ。あれこれ画角を変えて撮るなら、ズームレンズでも持てば良い。ズームが嫌いで単焦点レンズを使うようになったのだから、これと決めた1本で撮るのが潔いというものだろう。実際1本勝負にしてから画角で悩むことはあまりなくなった。割り切りや心構えと云う点からも、交換レンズは持ち歩かないほうがいい。そうして散歩はもとより旅行に行くときも、わたくしは1本勝負である。ああ、ハコは2台だったりするけどね。
Kiev II + BK 2,8/3,5cm, Tri X