ハチゴのゾナー

 前に21ミリと25ミリは今さらほかのレンズに置換することができないレンズ、と書いた。同じようにほかのレンズを使ってみる気になれないのが、ゾナー8,5サンチだ。85ミリと云うのは個人的に最もすきな焦点距離で、そこから推察するにはいろいろな85ミリを使ってみたくもなるのがフツーの人なのだろうが、わたくしにはゾナー8,5サンチが1本あれば良い。たださすがにコレ1本、とストイックにはいかなくて、コンタックスのハチゴが2本と、コンタレックスの1本を持っている。本当はローライSL35のF2,8のハチゴもあるのだけれど、これはほとんど出番がない。やはりハチゴはF2に限る。

 はまると手放せなくなるレンズというのは、世の中に数多くある。でもほかのレンズが要らなくなる、というのは、レンズグルマン(わたくしはカメラ狂いであって、レンズ気違いではないけれど)にとっては、そう多くはないのではなかろうか。ハチゴのゾナーはそういうレンズだ。

 画角の違いを別にすれば、ハチゴはF2の5サンチゾナーと基本的に同じ傾向を表す。開放でのソフトだがピント面に芯の通った写りや、絞った時の分厚くシャープなピント面とアウトフォーカスの溶けてゆくボケ。特にコンタレックス用のハチゴでは、開放時のシャープネスも増して、合焦点からなだらかに溶解してゆくアウトフォーカス部のグラデーションの美しさが、その場の凝縮された空気感とともに、ひそやかに匂い立ってくる。どちらかと云えばヌケの悪いレンズであるけれど、そのせいか焦点距離の長さと相俟って、ステレオ写真のような誇張された立体感を表出するのだ。

 そんなわけで、わたくしにとってはF2のゾナーがあれば85ミリはこと足りる、と思っているのである──が、でもちょっとだけ、新ゾナー2/85ZMには惹かれるものがあったりする。構成的にはもはやゾナーではないけれど。
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Contax II + Sonnar 2/8,5cm T. ILFROD DELTA 100
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by y_takanasi | 2005-07-23 23:03 | Sonnar2/85


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