誰だったか忘れたけれど、レンズを1本手に入れたら、これは、と思える写真を10枚撮るまではそのレンズを使い続ける(ほかのレンズに手を出すな)、と云っていた写真家がいた。これはたぶん、写真、と云うか、写真術の要諦を云い得ているのだろう。1本のレンズ、1台のカメラに習熟しなければ、上達にはほど遠い。まして何台ものカメラ、何本ものレンズを取っ替え引っ替えしていては、いい写真なんぞ撮れようもないのだ。
そう、頭では判っていても、わたくしはコレクターである。所有するレンズの数からすれば、もう何百枚もステキな写真を撮っている筈だが、現実には十指で指のほうが余るくらいだ。上達の志がないわけではないが、精進するにはまだまだ先は長い。日々煩悩に惑わされ続けて、あっちこっちとふらふらしている。
Contax II + Biogon 2,8/3,5cm T. Tri X