ライカだから

 ちょっと前に書いたことだけど、たまに「ライカだからいい写真が撮れた」と云った類の台詞を聞くことがある。わたくしはこの言葉自体をとかく貶そうとは思わない。ここにはあるひとつの経験的事実が含まれているからだ。それは端的に云って、自己暗示の力である。

 写真の良し悪しは100%腕で決まる、とかつてわたくしは主張した。そこに機材(カメラとレンズ)の関与する余地はない。では何故に冒頭の言葉を否定しないか。それはこの台詞が写真の出来を単にライカ(機材)の性能のお陰と考える他に、ライカを使うことに拠る昂揚感の影響を含意するからである。そう、後者においてはそれが真性ライカである必要すら、実はない。撮影者が己れのカメラはライカだと信じてさえいればよいのだ。自分は世界に優れたる写真器材でもって撮影に臨んでいる、その意識が感覚を鋭敏にし、普段覚知しない美を認め、機を過たず捉えるのである。これが自己暗示の力であり、ライカなるブランドの力だ。従って勿論ここには大きな陥穽がある。それは当然ながら、ライカ信者でなければ効果はないと云うことだ。ライカになにがしかの伝説的尊崇がなければ、この昂揚感は得られない。ただし案ずるなかれ、それがニコンでもハッセルブラッドでもローライでも大ツァイスでも、あなたがそれらの信者であれば自己暗示の恩恵を受けるであろう。
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by y_takanasi | 2013-05-12 17:54 | Biometar2,8/35


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