記憶の伝承

この歳になってひとつ判ったのは、人間がなぜ結婚して(しなくてもいいが)子を作るのか、と云うことだ。それは己が血を残そうとする欲求ではない。それは己れの記憶を伝えたいがためなのだ。だから子供は実子でなくとも構わない。養子でも連れ子でもいい。かつて家(名)を遺すことに汲々としたのも、家が個々の記憶の集合体であったからだ。勿論、自分の記憶を残すには他の手段だってある。詩文や絵画、音楽をものしたり、あるいは科学、学問、政治や軍事に大きな足跡を残すことだ。功だけでなく罪のほうでも残すことはできる。稀にはただ犯罪だけで後代に残る人々もある。これらの手段の中で、子供を作るのが一番手っ取り早い(近頃はそうでもなくなったようだが)手段だったに過ぎない。人間が恐れるのは、自分が忘却の淵に沈むことなのだ。
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by y_takanasi | 2014-01-05 17:13 | Biometar2,8/35


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