Contax S

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 コンタックスSは史上初のペンタゴナルダハプリズム式SLRだ。ライカ判のSLRは戦前のキネエキザクタが最初で、SLR自体はそれよりももっと昔からあった。でもアイレベルファインダーでしかも正立像を実現したのは、1949年に颯爽と現れた、このコンタックスSが最初になる。コンタックスという名前は2度までも、カメラ史上に重要なエポックメイカーとして刻まれているのだ。

 コンタックスSが登場したとき、どれほどのインパクトを与えたのか、わたくしはもちろん知らない。しかしそこに輝かしい将来性を見て取ったのは、当の東独ツァイスの他は、極東の島国の企業を含むいくつかの小グループだけだったのであろう。世は未だRFカメラの時代であり、RFカメラの最高傑作であるライツのM3もまだ現れていない。

 だが、コンタックスSは商業的に大きく成功したとは云い難い。ファインダーはRFカメラに比べて圧倒的に暗かったし、クイックリターンミラーもなく、シャッターは最後まで高低2段式だった。その利便性が広く認識されるには、時間が必要だった。しかしそれでも、Fシリーズまで5つの主要モデルを含む11バリエーションを生み出し、またSLRの苦手領域だった広角レンズも、1951年という早い時期にフレクトゴン2,8/35がラインナップされて、東独ツァイスがその力を発揮した。60年代には、20ミリから1.000ミリまでをカバーするラインナップを完成させたのだ。これは当時のシステマチックなRFカメラとほぼ同じレンジであって、近接撮影と望遠撮影の両端では完全にSLRカメラの勝ちだった。

 やがてツァイス・イコンは1959年にカメラベルケ(KW)に統合され、コンタックスSシリーズはその役目をプラクチカシリーズに譲ることになる。しかしそれはSLRカメラの原型として、今なおその影響力を及ぼしていることは疑い得ない。
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Contax S(D2) + Biotar 2/5,8cm T. NEOPAN 100 ACROS
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by y_takanasi | 2005-11-08 19:31 | Biotar2/58


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