懲りずにテッサー型35ミリレンズをまだ集めている。今度はシャハトのトラベター3,5/35だ。シャハトといえばミュンヘン、のちにウルムの有名な光学企業で、エキザクタやM42TMのレンズを多く作っていたし、LTMのものもあった。ところでこのトラベターはそういう一般的なマウントのレンズではなく、ロードマットというRFカメラ用のレンズである。ロードマットはライツと同じヴェッツラーにあったライドルフという名のカメラメーカーの製品で、ロードックスやロードマットのシリーズを世に出していた。ロードマットシリーズは1眼式距離計ファインダーを持ち、スピゴットマウントによるレンズ交換式という、それなりに高性能なカメラである。
さてこのトラベターは大変小さくこじんまりとしていて、まるで8ミリ用シネカメラのレンズみたいだ。鏡胴の回転方向はライカと同じ、絞りリングにはクリックストップがついていて、不等間隔絞りだからこれは便利だ。ヘリコイドはシングルヘリコイドで傾斜カムとなっている。
描写にはWニッコールにひけをとらないほどのシャープネスとコントラストがある。見た目のちっこさからは想像もつかないほどのキレと云ってよい。もちろんこれは、当時としては、というハナシだから、現代レンズと比較されては困るが、モノクロで撮る分にはライカがどんなもんだてゆうくらいのレベルだ。これはなかなかの拾い物である。
Lordomat SLE + Travetar 3,5/35. NEOPAN 100 SS