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Werra IV

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 かつて手放したヴェラがまたやって来た。この手のカムバックは4度目、いや5度目だ。実は交換レンズが1本と、接写用アタッチメントだけ手許に残していたので、いずれ戻ってくるとは思っていた。いやこう云うと主体性がないようにも見えるが、要はまた物慾に屈しただけなんだよな。

 ヴェラはカール・ツァイス・イエナ名で発売された珍しいカメラだ。ふつうはツァイス・イコンかペンタコン名である。このカメラを作った工場は元々軍の小火器を作っていたところで、イエナの南西にある小邑に所在する。ヴェラとはこの町を流れる川の名前だ。

 このカメラが形態的に珍しいのはその巻き上げ機構だろう。つまりレンズ根元のリングを回すことでフィルム巻き上げとシャッターコッキングを行うのだ。云ってみればテナックスや、コニカIIIと似たようなしくみである。レンズシャッターの配置を考えれば、実はこのほうが理にかなっている。もっとも、リングをねじるように回すのだから、速写性はないに等しい。

 ヴェラIII以降はレンズ交換式で、これがまた全群交換式の豪勢な造りだ。交換レンズはフレクトゴン2,8/35とカルディナール4/100の2本が用意されていた。標準レンズはテッサーである。ファインダーには35ミリと100ミリのフレームも入っていて、ニコンS3やキヤノンPのような賑やかさだ。このファインダーがまた立派な造りで、クリアで見やすいことこの上ない。おまけに視度補正機構もついている。このファインダーブロックはそのままLOMOのレニングラードにも採用されており、東独ツァイスとソビエト光学産業が結構密接な関係にあったことを窺わせる証左である。

 唯一の弱点は距離計連動システムだ。ディアックスと同じピン式だから、長い間使っているとこのピンが摩耗して精度が落ちる。カルディナールを使う時はこれがネックになるだろう。ただし、よほどひどく使い込まれていなければ、50ミリ以下では支障はあまりない。

 ヴェラはノバー付きの初代から数えて全部で6、7種類が作られた。この数に色違いは含まれていない。距離計連動、目測、露出計搭載のそれぞれ組み合せがある。
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Werra IV + Tessar 2,8/50. NEOPAN 100 SS
by y_takanasi | 2006-02-23 18:42 | Tessar2,8/50


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