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That's Satz-Pantar

 コンタフレックス・アルパ、ベータ、プリマの交換レンズは、30ミリと75ミリのザッツ・パンター2本である。標準が45ミリだからかどうか知らないが、テッサー搭載のコンタフレックスの交換レンズよりも焦点距離が短い。もちろん前群交換式だから絞り幕はない。装着すると開放F値が1段暗くなる。

 このパンターはコンティナIIIというVF機にも使えるのがミソだ。当然ベースがパンターのコンティナに限られる。ボディのほうのフレームは単焦点だから、30ミリと75ミリの単体ファインダーが存在するのだが、あまり知られていない。このため時折珍品と称してオークションに出たりするが、決して珍しいアクセサリではない。30ミリはともかく、75ミリで距離計なしというのはちょと辛いだろう。コンティナIIIにつくのはあくまでおまけのようなものだ。ただし最短は75ミリで1,5m、他は1mである。

 前玉交換式のレンズは後ろが固定された造りだから、発揮できる性能にも限界がある。しかしそれでも標準的な条件下での写りは大したものだ。コンタフレックスやレチナがターゲットとした層の利用方法を考えれば、これで十分に過ぎる。しかもその当時はフラッシュ撮影が流行を見せた時代だから、開放F値が暗くてもあまり支障はない。そうしてレンズシャッターはフラッシュ同調にもってこいだった。

 確かにツァイス・イコンはレンズシャッターSLRで寄り道をした分、コンタレックスの投入が遅れて東洋の島国のみならず、東のツァイスにすら遅れをとってしまった。だが一方で、ツァイスとしては比較的廉価なSLRを大量投入することで、世間一般の──あくまで研究者や写真家ではないごく一般大衆の──SLRに対する懐疑心を払拭することにも成功したのだ。その意味でツァイス・イコンは、やはりパイオニアであったことは間違いないだろう。
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Contaflex beta + Pantar 4/30. Kodak GOLD 200
by y_takanasi | 2006-09-27 20:19 | Pantar4/30*


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