持久力皆無

 メタボだダイエットだと周りがかまびすしくなって来た。無駄な医療施策のひとつであるメタボ検診もぞろ始まる。わたくしは「不幸にして」こいつにひっかかりそうにない。なんて書くと石もて逐われそうだが、医療現場の見聞の限りでは、少なくとも検診基準に引っかかる程度がむしろ健康体なのである。抑も肥満と云うのは飢餓に対処するための自己防衛機能であって、それ自体はなんら責められるべきものではない。何でもそうだが、度を過ぎると良くないだけだ。わたくしはよく羨ましがられるほどの痩せ型であるが、要は飢餓で真っ先にくたばる体のタイプってことである。これは恰も、大陸軍のようなものだ。短期決戦には強いが、無補給持久戦には弱い。かつて大陸軍が無敵を誇ったのには、兵士の愛国心の他に、その迅速な行動力があった。他国兵士の歩速1分60歩に対し、フランス軍は80歩。ウルムの会戦において、吾行軍のみによりて勝てり、とナポレオンをして云わしめた進軍速度だ。これは訓練もさることながら、携行物資を必要最小限にとどめたお陰でもある。そう、ナポレオン軍の補給方針は現地調達主義なのである。現地調達てのは手っ取り早く云えば徴収、掠奪に他ならないから、現地人の協力がなければ上手く行かない。自国内や解放者として迎えられた地域でこそ成立するのであって、ただの侵略者と看做されれば大打撃を蒙るのは必定だ。スペインとロシアで彼が失敗したのはこのためだ。

 ナポレオン以前の戦争は傭兵戦でもあり、ひとつの作戦あるいは戦役に必要な物資は全て携行、運搬し、要所要所に備蓄しつつ行軍した。これが兵站、兵站線である。だから軍事行動の多くは敵の兵站を遮断し、撃破することを目的とし、敵主力の物理的撃破を必ずしも要しなかった。なにしろ傭兵だ、彼らに飢えてまで戦う気概はないし、戦意喪失させるには補給を断つのが手っ取り早い。だがナポレオンに兵站は必要なく、常に敵主力の包囲(つまり兵站線の遮断だ)と撃滅を主眼とした。作戦に必要な物資は全て行く先々でかき集めれば良く、それによる身軽さが作戦行動の要でもあった。だから現地で思うように物資を徴収できないと、途端に軍は弱体化する。それが判っていたからこそ、クトゥーゾフやロストプーチンは焦土作戦を採ったのである。

 そんな大陸軍的性質の体なもんで、何かのはずみで食事が取れないとなると、わたくしは一気に活力を失う。体が自転車操業しているようなものだ。
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by y_takanasi | 2009-03-13 21:33 | Planar1,4/55


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