スナップ

 スナップというのは昔から写真の一ジャンルで、カルティエ=ブレッソンやら伊兵衛やらが確立させて以来、今でも結構な人々がこれに興じているのだが、恐らくこれほど悪趣味な写真のスタイルもない。中には気取ってキャンディッド・フォトなんてぬかす輩もいるが、要は盗み撮り、隠し撮りである。自然体を収めるためとは云え、とにかく被写体に気付かれないようにこっそり撮るのがスナップ写真だ。その点ではトイレや更衣室の中を密かに撮影するのと変わりはない。かろうじて犯罪にならない程度のものであって、良いご趣味なわけもない。

 それにしてもなぜこっそり撮るのか。あるいはすり師みたいにすばやく撮ろうとするのか。プロのモデルさんは撮られることを意識しないで自然なポーズをとることができるが、町中のシロートのモデルさん、つまりその辺をうろうろしている一般人に、そんな芸当を期待したってどだい無理な相談だ。あるいはプロは撮られるのが商売だが、シロートは撮られるために町を歩いているのではない。スナップフォトグラファーはそこらで談笑したり物思いに耽っていたり何かに夢中になっていたりする人々をフィルムに捉えたいのだから、気取られて不自然な格好をされたり逃げられたり、難癖をつけられたりしないように、こっそり撮る、盗み撮りするのである。

 それにしてもきょうびスナップは難しくなった。なに、風景スナップは変わりないが、人物スナップのことだ。肖像権やらプライバシーやらで、そうそう気軽にひとを撮ることができなくなった。世知辛い世の中である。警察を呼ばれてフィルムを没収されたという話も聞く。もちろん日本での話だ。別にそれで金儲けしようてんでもあるまいし、ましてストーキングしているわけでもない、自意識過剰というものだろう。わたくしなんかいくら撮られようが気にもならない。自分で云うのもなんだが、割とフォトジェニックな恰好をしているらしく、カメラを抱えて町を歩いていると時々カメラが追っかけてくる。え、ああ、これも自意識過剰ですかそうですか。
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Leica DIII + Russar MR-2, ILFORD DELTA 400
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by y_takanasi | 2005-06-18 04:47 | RUSSAR MR-2


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