2009年 08月 06日 ( 1 )

でも焼いてない

 わたくしのプリントの好みは、低コントラストで、軟調で、曖昧で、フラットな、一般的にねむいと云われる絵である。ハイライトもシャドウも立たない、全体にグレー一色で塗りつぶされたような、ぼんよりとした階調の中に世界を構築する。そのくせTXなんか使うから、これが結構、めんどくさいことになる。おまけに大抵1段ほど露出オーバー、自ら窮地に追い込んでいるようなものだ。しかし体がもうこのパターンで固まってしまっているので、却って柔らかいフィルムを使うと勘が狂う。ネオパンSSなんて、ぐだぐだになっちまいますよ。

 こうしてでき上がった絵を見ると、やはり性格が出るものだとつくづく思う。つまりやり方も出来上がりも大雑把なのである。大体試し焼きなんてのは最初の1コマくらいで、あとはネガの濃度分布を見て文字通りテキトーに計時する。見る人が見たらひっくり返るくらいのアバウトさだろう。でも、そこ(ネガ)に在る情報のすべてを抽出するのがプリントではあるまい。作品として期待する結果を出せたか、あるいは超えられたかが大事なのであって、全情報を顕現させることに拘泥して、全体を見ることを忘れては本末転倒と云うものだ。況して写真は写実ではなく、現実の再現でもない。常々書いているように、それはセンセイションの再構成である。少なくとも、事象の記録を目的としない現代のモノクロ写真においては、プリント者のバイアスこそが意味を持つのだ。
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Super Ikonta 531 (Tessar3,5/7cm). Tri X
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by y_takanasi | 2009-08-06 20:35 | SuperIkonta531