カテゴリ:NOKTON1,5/50( 4 )

いちご、にんじん

 かつて戦前の5サンチF2レンズという特輯をやったので、次は戦前の5サンチF1,5玉だ、てことを書いた。ような気がする。でもこれはとにかくハードルが高い、てことも書いた。ような気もする。ゾナーとクセノン改(つまりズマリットだ)は手許にあるからいいとして、他に思いつかないのだ。シムラーは事実上試作段階だし、マイヤープリモプランは公式に試作されたのかどうかも判らない。戦後まで巾を広げたところで、F1,5はそれほど種類がない。と云うかまるでない。先のシムラー(トプコール)と極初期のニッコール&セレナーだけだ。いや、肝心のアレがあるだろう?
d0044379_20113572.jpg

 てことでノクトン1,5/50である。トロニエの代表作である。いやトロニエの代表作に相応しいのはウルトロンであり、ノクトンはどちらかと云うと鬼子みたいなものだ。この辺り、F2と1,5の5サンチゾナーの関係に似ている。ような気がする。尤もゾナーはRFコンタックスの終焉とともに姿を消してしまったが、ウルトロンはSLR用に少し姿を変えて生き残った。しかしノクトンは、ゾナー同様ボディと命運を共にしてしまう。それどころか、フォクトレンダーはツァイスに吸収されるまでF1,5級の明るさを復活させなかった。ゾナーが比較的短いとは云え四半世紀以上の命脈を保って一代を築いたのに対し、ノクトンの生涯は余りにも儚い。SLRへの適合と云う技術的な面からすれば、ノクトンにはゾナーに対する優位性があったのにも拘らず、ウルトラマチックやベッサマチックには受け継がれなかった。理由は幾つか考えられるが、恐らく最も可能性の高いものは、こんにちの評価程にはノクトンの描写性能は受け容れられなかった、と云うことであろう。
d0044379_20121522.jpg

Contax II + NOKTON 1,5/50. Tri X
[PR]
by y_takanasi | 2009-07-11 20:13 | NOKTON1,5/50

べさ

 過去、新品で買ったカメラは4台だけ、そのうちの2台が今も手許にあり、うち1台だけが出番が多い。云うまでもなくベッサR2Cだ。このベッサ、見た目はださいし、シャッター音も静かとは云えないし、巻き上げも少しぎこちないのだが、ファインダーだけはクリアだ。そのクリアさはM型ライカ何ぞの比ではない。純粋に透明度だけで云ったら、ヴェラ、レニングラードに匹敵する。二重像の見え方は上出来だし、フレームはピカイチだ。それだけでもアマチュアにとっては写慾を刺激する。それにこのカメラは、M7やツァイスイコンと違ってフルマニュアルカメラだから、わたくしのような電池嫌いにはもってこいなのである。

 R2Sのほうは生産が終了してしまったし、MマウントのほうもR3Aになって自動化されてしまったから、元より極めて趣味的なCXマウントのR3CやらR4Cが出る可能性はないに等しいけれども、もし出るとしたら、シャッター機構はこのままでもいいから、デザインをなんとかして欲しい。オールドタイムのレンズには今のデザインはひどく似合わないのだ。どうせお遊びカメラなんだから、装飾などのムダなところにも凝って欲しかった。とは云ってもR2Cは、けっこう使える趣味カメラである。
d0044379_22355659.jpg

BESSA R2C + NOKTON 1,5/50(Prominent). Tri X
[PR]
by y_takanasi | 2006-10-20 22:37 | NOKTON1,5/50

視覚

 目で見た風景と、写真に撮った風景とは、いつも何かが違う。観光地で撮った記念写真なんかを見ると、その思いが強くなる。画角のせいだろうか? 写真のプリントサイズのせいだろうか? そのどれでもないようだ。わたくしが思うに、この違和感が生じるのは、そこに匂いや音がないからだ。われわれは決して目だけでものを見ているのではない。嗅覚や聴覚、時には触覚すら駆使して、風景を「眺めて」いる。だからこの違和感は、想像力の欠如でもない。ありのままの姿を写真にとどめることは、どだい不可能である。写真は存在を視覚作用のみに純化して記録する。われわれはあとからそこに匂いや音を感じようとすることもできるが、記録することはできないのだ。だから視覚以外のすべては記憶である。記憶は今そこにあるものではない。それを喚び起こそうとしない限り、決して立ち現れるものではないのだ。そうして記憶は、どこまでも現−在ではない。そこにギャップが生じ、われわれは違和感を感じる。感興で撮る写真の宿命である。

 もしあなたが、その違和感をできるだけ取り除きたいのなら、写真を撮る際にその風景を目だけで感じることだ。音も、匂いも、肌にあたる風や陽の光すらシャットアウトして、全神経を視覚に集中する。そうして純化された視覚体験は、あるいは特別な世界を見せてくれるかもしれない。
d0044379_2111922.jpg

BESSA R2C + NOKTON 1,5/50(Prominent). Tri X
[PR]
by y_takanasi | 2006-10-19 21:01 | NOKTON1,5/50

レンズの名前

 わたくしは初めて買ったカメラがヤシコンだったせいもあって、レンズの名前というものに執着する。その名前が、焦点距離やレンズ構成と密接に結びついているのがすきなのだ。だから日本製のレンズが、どれもこれも同じ味気ない名前なのが非常に残念だ。仮にも世界に誇れる日本光学産業の結晶である。それが十把一絡げにキヤノンレンズだとかペンタックスズームレンズだとか、もう少しなんとかならんものか。なんだかどれも大量生産の安物に思えてくるのだ。例えばここで、シグマがシグマロン、シグマリット、シグマレクス(ありゃ、ぜんぶライツのパクリだ)なんかに各レンズを改名したら、それだけでニッコールよりも優れていそうな気になるのだがな。そんなわけで、コシナフォクトレンダーのレンズは結構すきだ。
d0044379_19513086.jpg

BESSA R2C + NOKTON 1,5/50 (Prominent). ILFORD DELTA 400
[PR]
by y_takanasi | 2005-12-21 19:54 | NOKTON1,5/50