<   2005年 07月 ( 10 )   > この月の画像一覧

Summar

 ズマールはボケ玉だとは、どこのどいつが云ったのか。わたくしはライツのレンズ中、このズマールが一番すきだ(そんなに多くの玉は試していないが)。決してシャープではないけれど、繊細で階調の豊かな絵は、時として当時のライバル、ゾナー2/5cmの絵を情感において上回る。巷間の悪評は前玉が拭き傷だらけの程度の悪いレンズしか使ったことのない連中によって流されたものだ。そんな状態のレンズなら、ゾナーだろうがズミクロンだろうが、でろでろの絵になるに決まっている。

 ズマールは正しくDIII以降の戦前バルナック型ライカで使うのが美しい。沈鏡胴のちょっと口をとんがらせたデザインが、でこぼこの多いボディによく合っている。でもクロコンを愛してきたわたくしには、ほかの焦点距離ならいざ知らず、5サンチ玉で距離計とビューファインダーが別々なのは、正直云って面倒くさい。そのため横着してM3に装着することのほうが多く、恰好は少しくまぬけになるけれど、M3に5サンチの組み合せは実に気持ちよいから、まあ、許せるとしよう。じゃあバルナックはどうするのかって? 3,5サンチエルマーを付けるのだ。
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Leica M3 + Summar 2/5cm. ILFORD DELTA 100
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by y_takanasi | 2005-07-28 23:45 | Summar2/50

135ミリでスナップ

 135ミリと云う焦点距離は、スナップには向かないだろうと思っていた。それで今までにたった2本しか持たなかったのだけれど、エルマリット2,8/135を使ってみて、想像していたよりも融通が利くことに気付かされた。もともとわたくしが離れた立ち位置から物事を眺めると云うこともある。15から20メートルほど離れたところで対象を捉えると、広角レンズとは違った濃度(プリント濃度のことではない)の中に情景が浮かび上がってくる。その独特の表現力はなかなかに面白い。これにはエルマリット自体の描写傾向も関与しているだろう。エルマリットは優しくふわっとした暖かみのある──モノクロでのハナシだ──描き方をする。

 もう1本の135ミリはゾナー4/13,5cmで、これは開放から分厚くシャープな絵を描くため、どうしても特定の対象が際立ってしまう──つまり正しく望遠レンズ的なのだ。どちらがすききらいのハナシではない。エルマリットはスナップにも使える、と云うことだ。
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Leica M3 + Elmarit 2,8/135. ILFORD DELTA 100
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by y_takanasi | 2005-07-25 08:49 | Elmarit2,8/135*

ハチゴのゾナー

 前に21ミリと25ミリは今さらほかのレンズに置換することができないレンズ、と書いた。同じようにほかのレンズを使ってみる気になれないのが、ゾナー8,5サンチだ。85ミリと云うのは個人的に最もすきな焦点距離で、そこから推察するにはいろいろな85ミリを使ってみたくもなるのがフツーの人なのだろうが、わたくしにはゾナー8,5サンチが1本あれば良い。たださすがにコレ1本、とストイックにはいかなくて、コンタックスのハチゴが2本と、コンタレックスの1本を持っている。本当はローライSL35のF2,8のハチゴもあるのだけれど、これはほとんど出番がない。やはりハチゴはF2に限る。

 はまると手放せなくなるレンズというのは、世の中に数多くある。でもほかのレンズが要らなくなる、というのは、レンズグルマン(わたくしはカメラ狂いであって、レンズ気違いではないけれど)にとっては、そう多くはないのではなかろうか。ハチゴのゾナーはそういうレンズだ。

 画角の違いを別にすれば、ハチゴはF2の5サンチゾナーと基本的に同じ傾向を表す。開放でのソフトだがピント面に芯の通った写りや、絞った時の分厚くシャープなピント面とアウトフォーカスの溶けてゆくボケ。特にコンタレックス用のハチゴでは、開放時のシャープネスも増して、合焦点からなだらかに溶解してゆくアウトフォーカス部のグラデーションの美しさが、その場の凝縮された空気感とともに、ひそやかに匂い立ってくる。どちらかと云えばヌケの悪いレンズであるけれど、そのせいか焦点距離の長さと相俟って、ステレオ写真のような誇張された立体感を表出するのだ。

 そんなわけで、わたくしにとってはF2のゾナーがあれば85ミリはこと足りる、と思っているのである──が、でもちょっとだけ、新ゾナー2/85ZMには惹かれるものがあったりする。構成的にはもはやゾナーではないけれど。
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Contax II + Sonnar 2/8,5cm T. ILFROD DELTA 100
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by y_takanasi | 2005-07-23 23:03 | Sonnar2/85

標準です

 わたくしは50ミリ玉がすきで、スナップには割と持ち出すほうだ。ここのところはテストも兼ねて手持ちの全RFレンズを順繰りに持ち出していたから、あまり出番はなかった。メインの機材はコンタックス(念のため補足するとヤシコンではない)だから、その50ミリと云えばゾナーとテッサーだ。でもホントのことを云うと、この4本は3,5サンチビオゴンや8,5サンチのゾナーに比べると使用頻度は少ない。それと云うのもツァイスの標準レンズは極めて優秀で、悪く云えば際立った個性と云うものが尠いからだ。そのためどうしてもビオゴンやハチゴゾナーなどに浮気してしまう。

 この点、ライツの半世紀前の50ミリは、どこか間が抜けていて、隙があるので使い出がある。ズマール、ズマリット、DRズミクロン。最後の1本は前2者に比べてずっと優れて隙も尠いけれど、近接撮影ができるということで特にのら撮りに重宝する。あんまりライツの50ミリばかり連れ出すので、防湿庫でゾナーたちがくさってないか少し心配だ。なにしろゾナーだけで11本もあるのだから。

 でも、この絵はツァイスでもライツでもない、フェド製。
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FED + FED 2/50. ILFORD DELTA 400
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by y_takanasi | 2005-07-19 13:13 | FED2/50

超広角

 21ミリと25ミリはわたくしにとって特殊な焦点距離だから、ビオゴンとトポゴンがあればこと足りる。それはそれぞれのパースペクティブが各々のレンズの描写と頒ち難く結びついていて、今さらほかのレンズ描写に置き換えてみる気が起きないからだ。

 寄れないという点はさしたる問題にはならない。寄らなきゃ撮れないモノは撮らなきゃいい、というのもあるけれど、主たる用途がスナップなのだから、むやみに繰り出す必要もないわけだ。そうしてもちろん測距もしない。3メートルに合わせて外付けのビューファインダーを覗き込み、好きなときにレリーズする。時にはファインダーなんてなくたって構わない。だいいち専用のファインダーを手に入れるまでは、28ミリのファインダーでテキトーにフレーミングしていたのだ。超広角レンズは時としてノーファインダーのほうが面白い絵が撮れる。一眼レフのひとつの欠点は、フレーミングに不必要に気を遣ってしまうということだろう。
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Contax IIa + Biogon 4,5/21. ILFORD XP2 Super
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by y_takanasi | 2005-07-16 04:13 | Biogon4,5/21

Dual-Range Summicron 2/5cm

 引き続きライツ玉、DRズミクロンだ。マクロエルマー4/90を除けばノーマルセットでこれだけ寄れて、距離計に連動するMマウントレンズはほかにない。近距離域へはシームレスでないのが少し面倒だけれど、ズミクロンと云うM型標準レンズ中の標準レンズをフル活用できるアタッチメントは大変便利だし、なにより装着した姿が恰好いい。

 ズミクロンの伝説は7年前の固定鏡胴型に始まり、そのシャープネスと階調の豊かさがライツのみならずすべての50ミリレンズの目指すスタンダードとなった。そんな傑作レンズでも実は実焦点距離が大雑把で、異なる3つほどのグループに分けてそれぞれに対応する鏡胴を用意していた。このやり方は今現在でも変わっていない。この点ツァイスはストイックなまでに実焦点距離の統一を守り、その精度管理体制は凄まじいの一言に尽きる。

 DRズミクロンはその3グループのうち、51,6mmの個体だけを選別して誂えられた、云わばエリート中のエリートである。51,6mmと云う中途半端な数値はライカの伝統的な基準焦点距離で、このベレクかバルナックが生み出した亡霊は、ニッコールやキヤノンなど現代の50ミリレンズにまでまとわりついている。

 描写は確かにすばらしい。それまでのライツ玉とは比べものにならないほどのシャープネスを有っている。後ぼけはちょっとうるさいけれど、この程度ならゾナー5サンチに伍してひけをとらないだろう。ダブルガウス型がその真価を発揮し始めた、記念すべきレンズである。
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Leica M3 + DR Summicron 2/5cm. ILFORD DELTA 100
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by y_takanasi | 2005-07-15 05:54 | DR-Summicron2/50*

Elmar 4/9cm

 友人に、エルマー4/9cmはテッサータイプの傑作だ、と吹き込まれたので、このあいだ入手してみた。傑作かどうかはよくわかんないけれど、開放F値を抑えているせいか、描写はなかなかに良い。ディアックスのテレ・クセナー(すいません、照れくせえなあ、とゆうおやぢギャグを考えたのはわたくしです)3,5/90もテッサータイプで、両者の傾向は似ているような気もする。

 このエルマーでちょっと困るのは、鏡胴が細身だと云うことだ。長さもあるのでどうしても一眼レフのようなホールディングになるのだが、ピントリングが滑らかに過ぎてすぐにずれてしまう。トルクの問題もあろうが、もう少し後ろのほうまでリングを伸長してほしかった。そうすれば今より深くホールディングすることができて、鏡胴に入る力も小さく済む。今のままだとレンズの中央付近を指で挟むことになり、構えが浅くなってどうしても重さが指のほうにかかってしまうのだ。

 M型に装着した恰好は残念ながらあまり見栄えのするものではない。コンタックスIIIにゾナー4/13,5cmをつけたようで、ちょっとばかりおまぬけだ。でもM3の90ミリフレームは見やすく、その点ではベストマッチングだろう。
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Leica M3 + Elmar 4/9cm. ILFORD DELTA 400
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by y_takanasi | 2005-07-14 10:14 | Elmar4/90*

継続性

 なるべく気に入ったカットだけ使っているので、1日1枚上げるには週に2本は撮らないと間に合わない。24枚撮りで3、4コマも使えればいいほうだからだ。それでも数年前に比べればマシになった。あの頃はとにかく自分で見てもくず絵ばっかりだった。上達したのか、それともくず絵に耐性がついたのかは判らない。上達したのだと思ったほうが、精神衛生上よろしいのでそう考えることにしよう。
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Leica M4-P + Biogon 2/35ZM. ILFORD DELTA 100
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by y_takanasi | 2005-07-12 09:56 | Biogon2/35ZM*

定点テスト

 またまた昔話だが、中古レンズを漁り始めた頃は定点撮影テストみたいなことをやっていた。入手したレンズで特定の被写体を撮って、描写性能と云うか傾向を見るアレだ。大してレンズの知識がなくても、ずうっと同じ絵を撮り続けていればだいたいの傾向は判ってくる。でもやっぱりそれもじきに飽きた。文字通り飽きたのだ。写真雑誌の評者でもあるまいに、そんなことをやって何になると云うのか。レンズの良し悪しはチャートや被写体をどう再現しているかによるのではなく、ある情景をどう表現しているかによる。観念的な話だが、ここで云う被写体と情景、再現と表現は、有つ意味合いが異なる。いずれの対の前者もより即物的であるのに対し、後者はより情緒的である。こういったことを考えるようになったのはもっと後のことだったけれど、直感的に写真を撮る上で定点テストにはさしたる意味もない、と云うことに気付いたのであろう。昔の写真整理函を漁ると、そういった面白みのないプリントがごそごそと出てくるのである。
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BESSA R2C + Biometar 2,8/35. ILFORD DELTA 400
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by y_takanasi | 2005-07-09 07:30 | Biometar2,8/35

Biogon 2/35 ZM

 ビオゴン2/35ZM。新品で買った5本めのレンズであり、現在手許にある100本以上のレンズのうち、唯一の新品レンズでもある。ズミクロン2/35よりは少し大きく、往年のツァイス35ミリレンズと同じくらいだ。鏡胴デザインはライツのMマウント玉に似ている(レンズ着脱指標や被写界深度目盛脇にでかでかと刻まれた焦点距離数字など)ものの、ピントリングの指がかりやフィルタバヨネットはコンタレックス用レンズのそれである。絞り指標が1/3刻みで刻印されているのはともかく、クリックストップまで1/3なのには恐れ入る。繰り出しの回転角はライツ玉よりも小さい。

 レンズ構成は伝統的な対称型ビオゴンタイプをすこし崩した感じで、曲率の強い前玉がいかにも広角レンズらしさを醸し出している。いったいズミクロンMでもMヘキサノンでもそうだが、最近の高性能な広角レンズは前玉が凹面を向けていて、実にレンズらしくなく味気ない。もちろん味気なさと写りとは無関係なのは承知の上だ。それでも雰囲気と云うものは、アマチュアフォトグラファにとって写欲をかき立てる大事な要素なのである。

 描写はとにかく優秀この上ない。35ミリにしては深度は少し浅めで、そのためか開いて使うとピントのあったところの立体感は凄まじい。カラーでの写りは知らないけれど、シャドウの描出力も秀でていると云えようか。ただ明暗差が大きいと表現はちょっとハイコントラストにすぎる。これは現代レンズの宿命かもしれない。
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Leica M4-P + Biogon 2/35 ZM. ILFORD DELTA 100
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by y_takanasi | 2005-07-08 09:25 | Biogon2/35ZM*