<   2005年 08月 ( 8 )   > この月の画像一覧

10枚

 誰だったか忘れたけれど、レンズを1本手に入れたら、これは、と思える写真を10枚撮るまではそのレンズを使い続ける(ほかのレンズに手を出すな)、と云っていた写真家がいた。これはたぶん、写真、と云うか、写真術の要諦を云い得ているのだろう。1本のレンズ、1台のカメラに習熟しなければ、上達にはほど遠い。まして何台ものカメラ、何本ものレンズを取っ替え引っ替えしていては、いい写真なんぞ撮れようもないのだ。

 そう、頭では判っていても、わたくしはコレクターである。所有するレンズの数からすれば、もう何百枚もステキな写真を撮っている筈だが、現実には十指で指のほうが余るくらいだ。上達の志がないわけではないが、精進するにはまだまだ先は長い。日々煩悩に惑わされ続けて、あっちこっちとふらふらしている。
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Contax II + Biogon 2,8/3,5cm T. Tri X
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by y_takanasi | 2005-08-31 09:35 | Biogon2,8/35

Meyers

 中級または廉価版と云う位置づけに惹かれて、なんとなくかき集めてしまったのが、エキザクタマウントのマイヤー玉である。広角は29ミリから望遠500ミリまで29種類あるうち、12本が手許にある。フーゴ・マイヤー・ゲルリッツは元々望遠系に強いメーカーだったので、中望遠以下の多くはテッサー型やトリプレットで、あまり見るべきものはない。ただ2本のプリモプラン(58と75)とリディート3,5/30は別だ。

 プリモプランは戦前からあるレンズで、設計者はよく判らない。当時としては大変明るいレンズで、ナハトエキザクタにも供給されていた。開放では軟焦点レンズのようでどうにもぼやあっとしているものの、F4あたりまで絞るとぐっとシャープになる。近距離だと周辺はぐるんぐるんになるくせ玉だ。

 リディート、これも誰の手になるものか知らないのだけれど、開放から高コントラストでシャープなレンズだ。まるで現代レンズのような描出力を有っているが、40年以上も前のものなのである。そうして性能の割にはプリセット絞りと、時代を感じさせる造りをしている。最短撮影距離は33サンチだから、まあ、平均的な広角レンズだろう。非常にコンパクトで、プリセット絞りに慣れてしまえば使いやすいレンズである。
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EXAKTA RTL1000 + Lydith 3,5/30. ILFORD DELTA 400
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by y_takanasi | 2005-08-26 18:39 | Lydith3,5/30

表記法

 とあるカメラ雑誌でエクサクタ・ファレックスと書いてあるのを目にして、なんだか入れ歯を落としたじじいの呟きみたいだ、などと思う。エキザクタ、つまりExaktaだが、これはエクサクタと読むのが正しいドイツ語なのだが、そんなことには頓着しない。なるほど、確かにExaはエクサと読んで、エキザとは読んでいない。でもそれは慣用と云うか大勢がそう呼んでいるからで、どれだけ多く耳にして慣れてきたか、というだけのことだ。

 他にもある。フォクトレンダーのヴィテッサもそうだ。かの雑誌はフィテッサと書いていた。やっぱり歯が欠けている。確かにヴィテッサなら会社名もヴォクトレンダーと呼ばなければ、今度は統一性に欠けてしまう。でもいいのだ、欠けたって。

 もちろん多に従うを良しとせずとも、それはそのひとの勝手だ。おのれの信念に従えば良かろう。SummarがズマールならElmarもエルマールと云うべきだ、とのたもうたご仁がかつていたが、ズンマーと呼びたければそうすれば良い。わたくしだってMeyerをメイヤーと呼ばずにマイヤーと呼んでいる。それはMeyerに出くわしたときからマイヤーと読んでいたからであって、それ以前にメイヤーを知っていたらマイヤーなんてなんだか妙な気分になっていただろう。

 要は最初のインパクトと、慣れなのだ。映画人はcameraをキャメラと云うが、普通の人はカメラと読む。原音に忠実に、なんてことを云う連中もいるが、そこまで原音に義理立てする必要はもちろん、理由もあるまい。本気でこれを実行したら、ソビエトカメラなんかとんでもないことになる。フィェート、キーイフ、ヒリーアス、マスクワー。よろしい。言葉は人類史上最高の民主主義的なシロモノである。それが世に受け入れられるならば、徐々に広まっていくことだろう。そこに正誤は関係ないのだ。

 それではみなさんご一緒に、フィェート、キーイフ、ヒリーアス、マスクワー。やってらんねえよ。
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EXAKTA RTL1000 + Oreston 1,8/50. NEOPAN 400 PRESTO
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by y_takanasi | 2005-08-22 20:29 | Oreston1,8/50

HEXAR 2/35

 コニカヘキサー(AF)のジャンク品を手に入れた。レンズの再利用のためである。とは云ってもわたくしはその道の技倆は持ち合わせていないから、加工はMSオプチカルR&Dに依頼した。初めての改造ということで、2ヶ月ほど時間がかかると云われたけれど、1ヶ月もかからずに完成したのがコレだ。

 ヘリコイドはラインナップのMS35タイプで、鏡胴が新規製作である。ヘキサー2/35の実焦点距離が34,8mmということで、僅かに傾斜カムを切削しているそうだ。無限遠ストッパーはついてないけれど、若干開始トルクが高めなので、ヘリコイドレバーは少し使いづらい。ゴムあてでも付けて指がかりを良くするか、フードをきつめに装着してフードを持ってフォーカシングするのが良いだろう。

 周知のようにこのヘキサー2/35レンズは世評も高く、のちに藤澤商会から千本限定でLTM化販売された(さらに改良型が千本出ている)。このとき名前はヘキサノンに変わった。カラーでの表現はだいたいニュートラルと云って良いが、日陰では少しシアンに転ぶ傾向がある。モノクロでも現代レンズにありがちな、めちゃくちゃなハイコントラストになることはなく、中間調の再現力も比較的高い。人気があるのも判る、いいレンズだ。
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Leica M4-P + HEXAR 2/35. ILFORD DELTA 100
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by y_takanasi | 2005-08-21 15:51 | HEXAR2/35

写真論

 世の中に写真論と名のつくものはごまんとあるが、大概はろくでもないものだ。あるものはその写真が撮られた時代背景やコミュニティについて語り、あるものは構図や撮影技巧について語る。しかし前者は写真をダシにした社会論でしかないし、後者はただの技術論か、よくて絵画論である。ひどいのは作品を並べて撮影者の内面にまで立ち入るシロモノがあるが、それは写真論ではなくて写真家論だ。

 正しく写真論とは表現媒体としての写真とその美、そして可能性について論じていなければなるまい。ここではわたくしなりの写真論を開陳する技倆も閑暇も持ち合わせていないけれど、写真とは言葉を使わない──というよりも光と化学的プロセスによる詩であって、ミラン・クンデラとE.A.ポオが詩的なものに与えた使命と本質とを必要とし、また保持するものである、と云うにとどめる。
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EXAKTA RTL1000 + Pancolar 1,8/50. NEOPAN 400 PRESTO
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by y_takanasi | 2005-08-19 12:24 | Pancolar1,8/50

HELIOS-103

 ヘリオス103は94の後継として1970年代に製作された、キエフ4用の標準レンズである。ヘリオス94がキエフ5専用の特殊外爪マウントだったのに対し、103はゾナーやユピテル同様、ふつうの内爪マウントだ。レンズ構成は4群6枚で、その名が示す通りダブルガウス型である。但し、細かい仕様は判らない。まったくのオリジナル設計なのか、それともライツやツァイスのコピーなのか。いずれにしろ、描写は極めて良好と云える。

 鏡胴本体は真鍮製のしっかりした造りだが、外装は見るからに安っぽい樹脂製である。ちょっとアヤシげな等間隔絞りには、クリックストップがついている。それまでのユピテル標準レンズ同等、小さく比較的軽い。

 ヘリオス103は1980年代末までキエフのアルセナルで生産されていたが、ソビエト崩壊後、メノプタと名前を変えて生産継続されたものと思われる。
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Kiev 4am + HELIOS-103(1,8/53). Tri X
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by y_takanasi | 2005-08-15 18:41 | HELIOS-103

テーマ

 なにかひとつテーマを決めて写真を撮るのは難しい。ひとによっては大したこともないのだろうが、わたくしはどうもそのテーマと云うものに撮影意識がとらわれてしまい、惑乱してしまうのだ。だからのらの絵のほかは、どうにもまとめようがなくて難儀する。無数にとっちらかった写真の山を眺めながら、これをどうにか分類するキーワードはないものかと、思案に暮れるのだ。もっとも、今は思案するよりまず焼け、という段階なのだが。
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Leica M3 + Elmarit 2,8/135. ILFORD DELTA 100
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by y_takanasi | 2005-08-07 06:09 | Elmarit2,8/135*

ORION-15

 戦後のソビエト製RFレンズのうち、ルサールと並んで評価の高いレンズがオリオン15、6/28である。構成はトポゴン型だが、ツァイスのそれは4/25であり、独自の改良が為されたものと思われる。そうしてその改良は、なかなかに優れたものだった。というのもオリオン15は、開放からハロも少なく、極めてシャープでコントラストの高い絵を描き出すのだ。オリジナルのトポゴンが開放はもちろん、F6まで絞っても柔和な絵を作り出すのとは随分と性格が違う。

 面白いことにオリオンは、開放絞りでも絞り羽が開き切らず、まるで目玉のように虹彩絞りを覗かせている。これをとっぱらってしまえばF5,6か4,5くらいになるのかもしれないが、誰かやってみるひとはいないだろうか。

 それからなぜか、このレンズだけはLTMよりコンタックスマウントのほうが高い。場合によっては倍近い差がある。ほかのソビエトレンズ、例えばユピテル3とか9とかは、ほぼ同じかLTMのほうが高いのに、生産数の違いなのだろうか。

 とまれ、28ミリと云う焦点距離はやっぱりわたくしにとっては特殊なものなので、このオリオンさえあればあとは特別欲しいとも思わない。
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Kiev 4am + Orion-15(6/28). ILFORD XP2 Super
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by y_takanasi | 2005-08-03 07:52 | ORION-15