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アウトフィット

 わが家のマニアックなアウトフィットと云えば、ロードマットとディアックスの2セットだ。それぞれヴェッツラーとウルムにあった小企業のRFカメラである。いずれも高性能というにはほど遠いけれども、各自に特徴を出そうとしていて面白い機械だ。ロードマットには非連動露出計とブライトフレームファインダーがあり、ディアックスには3眼式ファインダーがある。ギミックとしてはロードマットのほうがより面白いが、その分図体はでかくなってしまった。ディアックスにはコンパクトさという武器がある。

 どちらもレンズマウントはスピゴット式で、それぞれエナとシュナイダーのレンズを使っているから、描写もそんなに悪くない。特にクセノン2/45なかなかの性能だろう。ただ35ミリはどちらも平凡である。中心部の結像力はクセナゴン3,5/35のほうが良いが、周辺がぐるぐるだ。均一と云う点ではトラベター3,5/35のほうが優れている。もっともWニッコール3,5/35などには敵わない。せいぜいそのつもりで使うのが吉だ。
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Lordomat SLE + Lordon 1,9/50. NEOPAN PRESTO 400
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by y_takanasi | 2006-10-22 16:03 | Lordon1,9/50

べさ

 過去、新品で買ったカメラは4台だけ、そのうちの2台が今も手許にあり、うち1台だけが出番が多い。云うまでもなくベッサR2Cだ。このベッサ、見た目はださいし、シャッター音も静かとは云えないし、巻き上げも少しぎこちないのだが、ファインダーだけはクリアだ。そのクリアさはM型ライカ何ぞの比ではない。純粋に透明度だけで云ったら、ヴェラ、レニングラードに匹敵する。二重像の見え方は上出来だし、フレームはピカイチだ。それだけでもアマチュアにとっては写慾を刺激する。それにこのカメラは、M7やツァイスイコンと違ってフルマニュアルカメラだから、わたくしのような電池嫌いにはもってこいなのである。

 R2Sのほうは生産が終了してしまったし、MマウントのほうもR3Aになって自動化されてしまったから、元より極めて趣味的なCXマウントのR3CやらR4Cが出る可能性はないに等しいけれども、もし出るとしたら、シャッター機構はこのままでもいいから、デザインをなんとかして欲しい。オールドタイムのレンズには今のデザインはひどく似合わないのだ。どうせお遊びカメラなんだから、装飾などのムダなところにも凝って欲しかった。とは云ってもR2Cは、けっこう使える趣味カメラである。
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BESSA R2C + NOKTON 1,5/50(Prominent). Tri X
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by y_takanasi | 2006-10-20 22:37 | NOKTON1,5/50

視覚

 目で見た風景と、写真に撮った風景とは、いつも何かが違う。観光地で撮った記念写真なんかを見ると、その思いが強くなる。画角のせいだろうか? 写真のプリントサイズのせいだろうか? そのどれでもないようだ。わたくしが思うに、この違和感が生じるのは、そこに匂いや音がないからだ。われわれは決して目だけでものを見ているのではない。嗅覚や聴覚、時には触覚すら駆使して、風景を「眺めて」いる。だからこの違和感は、想像力の欠如でもない。ありのままの姿を写真にとどめることは、どだい不可能である。写真は存在を視覚作用のみに純化して記録する。われわれはあとからそこに匂いや音を感じようとすることもできるが、記録することはできないのだ。だから視覚以外のすべては記憶である。記憶は今そこにあるものではない。それを喚び起こそうとしない限り、決して立ち現れるものではないのだ。そうして記憶は、どこまでも現−在ではない。そこにギャップが生じ、われわれは違和感を感じる。感興で撮る写真の宿命である。

 もしあなたが、その違和感をできるだけ取り除きたいのなら、写真を撮る際にその風景を目だけで感じることだ。音も、匂いも、肌にあたる風や陽の光すらシャットアウトして、全神経を視覚に集中する。そうして純化された視覚体験は、あるいは特別な世界を見せてくれるかもしれない。
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BESSA R2C + NOKTON 1,5/50(Prominent). Tri X
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by y_takanasi | 2006-10-19 21:01 | NOKTON1,5/50

いちご

 F1,5の50ミリレンズが4種類、手許にある。古い順にゾナー、ズマリット、ノクトン(プロミネント用)、そしてCゾナーだ。このうち間違いなく性能の一番良いのはCゾナーなのだが、開放となるとちょっと違う。Cゾナーの開放はかつてのF2ゾナーのように、ソフトフォーカスレンズのような絵を作るのだ。これに比べると旧苺ゾナーは開放からくっきりと輪郭を見せる。ただしそれはカミソリのような鋭さではなく、手斧(なんで「ちょうな」で変換できないのか、どーでもいいけど)でぶった切ったかの荒々しさである。

 ノクトンの開放はもう少し甘い。ややフレアを伴ってコントラストの低い、穏やかな絵を作る。最高の癖玉はズマリットだ。コントラストは決して低くない。ピント面はこの時代にしては驚くほどシャープだ。だがそこから前後のボケ方が半端じゃない。ひどい時はただボケるのではなく、ぐちゃぐちゃにかき回したかのような暴れ方をする。画面に気を使うのである。それでもズマリットは、なかなか優秀な玉である。ズミクロンで無難な絵をつくるより、ズマリットの手綱を少し緩めて走らせたほうが、結果的に面白い。
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Leica M3 + C Sonnar 1,5/50ZM. AIKO LIGHTPAN 100 SS
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by y_takanasi | 2006-10-14 20:42 | C-Sonnar1,5/50ZM*

ode

 クロコンに惚れ込んでようやく7年が過ぎた。その魅力は未だに色褪せない。趣味的で実用的。そんなカメラはそうざらにはない。大抵は実用性が高すぎるか、趣味性が強すぎる。クロコンはこれが巧くバランスしているのだ。ぱっと見た目は武骨で、写るのかどうかも怪しく感じられるかもしれない。しかしひとたびフィルムを詰めて掌に握りしめれば、実に小気味よく撮影できるだろう。そうしてそのレンズの描写はどれも今なお第一級だ。使いにくいなんて愚痴は怠惰な未熟者のいいわけに過ぎない。その独特のホールディングは唯一の正しい構え方を強制するために、決して不安定になることはなく、むしろ吸い付くような感触を与えるだろう。距離計は正確無比。しかも堅牢なことこの上ない。カメラの心臓たるシャッターは何かと批判の槍玉に挙げられるが、それは新品の、あるいはよく整備された個体を知らない者のたわ言だ。シャッター幕は金属製で日中でもレンズキャップを必要としない。レリーズショックは下手なFPカメラより小さく、作動音は実に滑らかだ。もしノイジーだと思ったら、その個体は整備不良なのである。

 そう、2万もしないガラクタ同然のクロコンでも、それと同程度の整備費用をかけると、コンディションもはっきりしないくせにその合計額よりも高いRFカメラなんか、足元にも及ばないほどの頼もしさを見せてくれる。ただひとつ残念なことは、クロコンは使う者を選ぶのだ。生半可な気持ちで付き合っても、クロコンはあなたを袖にする。真摯な愛情を持って甫めて、それはかけがえのない相棒となり、伴侶となるだろう。今年はクロコン生誕70周年である。
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Contax II + Sonnar 1,5/5cm T. ILFORD DELTA 100
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by y_takanasi | 2006-10-08 20:39 | Sonnar1,5/50