<   2007年 07月 ( 4 )   > この月の画像一覧

両端

 わが家の最望遠レンズは500ミリ、最広角レンズは20ミリである。このいずれもわたくしの手には少々、どころかかなり、余る。500ミリは別に星や野鳥が撮りたかったのではなく、なんとなく反射望遠レンズが欲しかっただけで入手してしまったのであり、事実上サーキット以外に持ち出したことがない。20ミリは3本も持っていたことがあるが、SLR用の2本(フレクトゴンのF2,8と4)は、SLRで超広角を使うことの難儀さに辟易して手放した。よって今手許にあるのは1本のみ、ルサールMR2だ。これはビオゴン4,5/21と並んで、ノーファインダーで辻斬りするのにお誂え向きである。
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Contax II + Biogon 4,5/21. Tri X
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by y_takanasi | 2007-07-26 20:25 | Biogon4,5/21

M3 the Best

 以前M3をバラした時、そのファインダーの作りに感嘆したことがある。あれは実際、最高級の光学部品だ。豪勢に光学ガラスを使い、また各部の巧妙なリンケージはあの頃がライツの最盛期だったと思わせてくれる。シャッター機構のほうは、これは余り大したことはない。シンプルなバルナックライカのそれを、正常に進化させた、あるいは複雑化させた程度のものである。潔さ、という意味ではバルナックのほうが上だろう。だからM3の身上は、そのファインダー部のみにある。それは、M3のファインダーがM2以降簡略化されてしまったことにも顕れていよう。確かに、同一の性能を発揮するならば、より部品点数の少ないほうが工業製品としては優れている。だがM3にはそういったありきたりな公理を超越したところで、カメラマニアを惹きつけるオーラがある。すなわちあらゆるキカイがその最初のバージョンで最も純にそのコンセプトを表現すると云う、これまた広く知られた公理に拠る魔力である。

 かくてM3は未だにライカの最高峰としての風格を保っている。実用性という点ではM4やM6のほうが優れているのにも拘らず、M3の人気と神秘性は、これからも衰えることはないだろう。
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Leica M3 + Elmarit 2,8/135. Tri X
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by y_takanasi | 2007-07-21 14:09 | Elmarit2,8/135*

中望遠

 世間一般的には控えめなわたくしは、写真撮影でもやっぱり図々しくはなれないものだから、その立ち位置はいつでも一歩か二歩、後ろである。かような次第でかつて一番すきな焦点距離は85ミリだった。85ミリはそのパースペクティブが人の自然な視点に近いので、スナップで出来上がりをイメージしやすいという利点がある。そう、わたくしは中望遠でもスナップに使うのである。時には180だってスナップに使ってしまうが、大抵の180は重すぎて取り回しがめんどくさい。スナップに使えるのはテレテッサーKくらいだ。

 最初に使った85ミリはプラナー1,4/85だった。ポートレイトの名レンズと云われる玉だ。もっともその当時は静物と風景ばっかりだったから、その真価はよく判らないまま手放してしまった。85ミリをスナップ用として使うようになったのは、旧コンタックスのゾナー2/8,5cmからである。これは実際小振りで取り回しもよく、またモノクロでの絹のような色合いが大変美しくて今でも愛用する。わたくしがゾナーという名前に一種の神懸かり的な風味を感じたのも、実はイチゴ(1,5/5cm)ではなくこのハチゴが最初なのである。

 ポートレイト、ということで云えば、今でも最高の中望遠として疑い入れないのは、王様用ゾナー2/85だ。もちろんこいつもスナップに使うけれど、どの距離で撮ってもそこに写る人物がひときわ美しく見える。そのピント面は概して厚く、プラナー85のような鋭利な切れ味は微塵もないが、決して硬くならない画面の作り方と、溶けるようなボケがそこに見出せる。それは紛れもなくコンタックスのハチゴを受け継ぐものであり、そこに王様レンズ特有の繊細さが加わったと云えるだろう。

 そんなわけで、85ミリに限らず中望遠レンズは何本か持っているものの、実質この2本があればこと足りる。ボディの使いにくさなんてカンケーないのだ。というか、コンタックスも王様も、まったく使いにくいなんてことはないのだが。
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Contax II + Sonnar 2/8,5cm T. ILFORD DELTA 100
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by y_takanasi | 2007-07-18 16:11 | Sonnar2/85

ハチゴだよ

 何度撮ってもアガリを見るたびに思うのだが、ハチゴゾナーはいいレンズだ。わたくしの持ってるのは戦中に設計変更された7枚玉(戦前の初代は6枚玉)と王様用の最終進化版で、そのどちらも写りは大変すばらしい。他の中望遠を何本も試したわけじゃないが、この距離はハチゴさえあればこと足りる、と思ってる具合だ。

 このハチゴに限らず、ゾナーの美徳は厚いピント面と溶けるようなボケにある。この特徴は同じゾナーでも、ローライ以降のF2,8のゾナーになると若干弱くなると思う。第2群の接合トリプレットが分割された結果なのだろうか。この美徳のおかげでゾナーはポートレイトにとても向いている。開放近くまで開いて最近接距離まで寄っても、見た目のピント面は深いから割とフォローがきくし、芯を残さずに徹底して溶解してしまうボケはうるさい背景も軽くいなしてしまう。絞っても硬くなることはなく、豊かなトーンで優しい絵を作る。全開放では少しソフトに過ぎるきらいもあるが、半絞りも絞れば美点ばかりが目につくことになろう。もちろんポートレイト専用玉ということはなく、スナップや風景、静物まで、その美徳を活かせる情況にはなんでも使えるのだから、旅先にこれ1本だけでも十分対応できるのだ。わたくし的にはね。
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Contax II + Sonnar 2/8,5cm T. ILFORD DELTA 100
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by y_takanasi | 2007-07-12 19:33 | Sonnar2/85