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成人の日

 世間的に見てわたくしはもうだいぶ若くない。若くないなどと虚勢を張ってみてもダメで、はっきり年寄だ。歳の割にふらふらしている理由はいくつか思い当たる節もあるが、意識的に若年層の文化行動に目を向けているせいもあるだろう。わたくしは社会がどう発達あるいは退化しようが、活力は常に下の世代から涌いてくると考えているから、彼らの文化にはたいへん興味があるし、自分もしくはその上の世代を基準としてそのスタイルを断罪したくない。道徳についても同然である(なお、法と道徳は似て非なるもの故に、違法については世代を問わずこれを非難する)。もっとも、道徳と云うものはだいたいが上から下へ強制される理念であるから、わざわざ論う価値もないだろう。

 頃合い恰も成人式である。毎年のようにニュースになる新成人のご乱行と突飛な文化スタイルであるが、毎年のように、と前置きした通り、これは今に限った現象ではない。そう、いつの時代にもおかしな新成人は一定数存在したのであり、それは今、そのニュースを見て眉を顰めている世代にも、それをニュースに仕立て上げた世代にも存在し、彼らもまた今時の若いものはと蔑まれた世代の一員なのである。愚かなのは槍玉に挙げられた連中であって、彼らがその世代を代表している訳ではない。だが人間は別の意味で愚かであるから、かつて、俺らはあいつらと同類じゃない、と憤慨したことも忘れて、今時の若者は、としたり顔で慨嘆してみせるのだ。
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Contax II + Sonnar 1,5/5cm. Tri X
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by y_takanasi | 2014-01-13 17:58 | Sonnar1,5/50

記憶の伝承

この歳になってひとつ判ったのは、人間がなぜ結婚して(しなくてもいいが)子を作るのか、と云うことだ。それは己が血を残そうとする欲求ではない。それは己れの記憶を伝えたいがためなのだ。だから子供は実子でなくとも構わない。養子でも連れ子でもいい。かつて家(名)を遺すことに汲々としたのも、家が個々の記憶の集合体であったからだ。勿論、自分の記憶を残すには他の手段だってある。詩文や絵画、音楽をものしたり、あるいは科学、学問、政治や軍事に大きな足跡を残すことだ。功だけでなく罪のほうでも残すことはできる。稀にはただ犯罪だけで後代に残る人々もある。これらの手段の中で、子供を作るのが一番手っ取り早い(近頃はそうでもなくなったようだが)手段だったに過ぎない。人間が恐れるのは、自分が忘却の淵に沈むことなのだ。
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Contax II + Biometar 2,8/35 T. ILFORD XP2 super
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by y_takanasi | 2014-01-05 17:13 | Biometar2,8/35