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なやみ

 使えないカメラ、というのは壊れているという意味ではなく、使い物にならん、という程度のことだが、そういう使えないカメラが、意外とウチにはない。それなりに不便なカメラはあるけれど、写りがどうしようもないとか、操作がやけくそを通り越しているとか、そんなシロモノが1台もないのだ。良いことか悪いことかはともかく、なんか物足りない気もする。
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Contax I + Orthometar 4,5/3,5cm. Tri X
by y_takanasi | 2007-08-31 21:38 | Orthometar4,5/35

ocvli regis

 王様のレンズは粒よりである。どれも平凡さとは一線を画して豊かな表現力を使い手に与えてくれる。カラーの彩りは幾分かヤシコンレンズに譲るけれども、モノクロでのシルキーさは完璧だ。もちろんそれ以上を望むこともできるが、その必要はないと云っていいだろう。フィルムの性能が未だにレンズに追いついていないのだから、カタログ上のスペックを追い求めても仕方ない。フィルム、そして引伸しレンズと印画紙とのマッチングを考えると、王様レンズは現代高級レンズに十分伍する。であればこれ以上、そこに何を求めるのか。おまけに工芸品としての美しさは、それらを凌いで第一級なのだ。所有欲と写欲の双方を満たしてくれるレンズはそうはない。王様レンズはその、数少ないひとつなのである。
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Contarex super + Planar 1,4/55. ILFORD DELTA 100
by y_takanasi | 2007-08-30 15:54 | Planar1,4/55

Planar

 わたくしはツァイス・イコン(何度も断るけどカメラじゃなくて会社名ね)もののコレクターなのだが、そのせいかどうか、プラナーは3本しか持ってない。実際プラナーが有名になるのはヤシコンからだし、それ以前はローライとハッセルで名を上げつつあったに過ぎない。でもヤシコンまたはローライSL35以前の135判プラナーだって、これがなかなかにいい写りをするのだ。王様の2/50は高い解像力とコントラストで力強い絵を作るし、1,4/55はやはり高解像性と、それに見あわぬ繊細さとで優美なモノクロ絵を描く。もう1本、コンタックス用の3,5/35は開放から鮮やかな色乗りで、ビオゴンにひけをとらぬ描写をするだろう。

 とはいえ、わたくしの中では王様の1,4/55を除いて、プラナーはどうも脇役である。ふだんのとり回しやすさではゾナーで必要十分、35ミリは戦前ビオゴンで無敵、長焦点はハチゴゾナー1本あれば大満足、という具合だからだ。今のところプラナーの、出番は余りないのである。
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Contarex super + Planar 1,4/55. ILFORD DELTA 100
by y_takanasi | 2007-08-24 20:56 | Planar1,4/55

Black Contax

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 コンタックスI型、通称ブラコンは、一風変わった巻き上げシステムを持つカメラである。というより、これと同じ位相にある他のカメラは5つあるかどうかだ。フィルムの巻き上げレバーもしくはノブが、カメラの上面ではなく背面や側面、あるいは下面にあるカメラは多いけれど、前面にあるフォーカルプレンシャッターカメラは恐らくブラコンだけだろう。FPシャッターでない、所謂レンズシャッターカメラなら、あと4つは知っている。それらはいずれも巻き上げ操作軸がカメラの前平面に対して垂直で、フィルムの巻き上げ軸に対しても直角に交わる。しかしシャッターチャージ機構に対しては、あくまで同軸であり、システムとして合理的でさえあろう。だがブラコンはこの3つの軸すべてが直交する。こんな無茶なカメラは他にない。ライカが3軸とも平行であり、合理的なのとは徹底して対照的である。

 しかしこの無茶な配置も、すべて必然的な設計なのだ。別に殊更ライカと違えようとしたわけではない。縦走りのFPシャッターは幕走行距離を短くできるため、安定した高速域を生み出せるよう採用されたのだし、前面の巻き上げノブは、距離計基線長をめいっぱい取るためにそこへ退避させたのだ。距離計はブラコンの生命線でもあったから、これは当然のことである。そうして理想を極めた結果、かくも複雑怪奇なキカイができ上がったというわけだ。ツァイスという組織は良くも悪くも技術偏重主義なところがあるから、売れるためにはどう妥協すればいいか、なんてことは考えない。考えられうる限り最高最良のスペックを投入して、その価値を理解できる奴だけついてこい、と構えるのである。彼らにとって大事なことはシェアをとることではなく、当代最高の技術を提示することなのだ。
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Contax I + Orthometar 4,5/3,5cm. Tri X
by y_takanasi | 2007-08-16 17:45 | Orthometar4,5/35

オルトメタアル

 オルトメター4,5/3,5cmは、今となってはどうにも半端な玉だけれど、これが結構、ぱりっと写るなかなかの良玉だ。開放値4,5というのは確かに暗い。なまじビオゴンという名玉があるために、オルトメターは至って日陰者である。でも当時4,5というのはそう珍しく暗い値ではなかったし、これより1段明るいエルマー35mmに比べても性能はぐんと良い。もっともツァイスの思想からすれば、ビオゴンが既にあるところへ低スペックの35ミリ玉を投入する意図は、余り感心したものではない。販売政策上の要請だったとしても、ムダな寄り道であったと云えるだろう。おかげさまで今日はもちろん、当時から立ち位置のあやふやなレンズとなって、本数もビオゴンに遥かに届かなかったのである。だから現在、市価はビオゴンより高く、コレクションとして以外には、余り用のないレンズである。
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Contax I + Orthometar 4,5/3,5cm. Tri X
by y_takanasi | 2007-08-11 23:50 | Orthometar4,5/35

久々のブラコン

 友人に、ブラコン使ってねーの? と云われたので、使ってみた。確かに今年使うのは初めてだ。久しぶりに使うと、この四角い無線機みたいなボディの握り心地がまたなんとも云えない。相変わらず針の穴を覗くようなファインダーの見え方も健在である。当たり前だな。

 ところでブラコンには、イチゴゾナーがよく似合う。F2でもハチゴでもまあ似合うが、一番しっくり来るのは1,5だ。その姿はひとつ目の巨人みたいで、ブラコンの凶暴なメカニズムをよく体現していると云えよう。これが例えばテッサー(通称ガングロテッサー)なんかだと、よりカタチはラジオっぽくなるのだが、押し出しが弱いのでちょっと変わったフツーのカメラに見られてしまう。そこで軽く手を出してしまうと、手ひどいしっぺ返しを喰らうのだ。そういう危険なキカイだから、最初からその凶悪性を前面に押し出して、警告を発しておくのが良いのである。
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Contax I + Orthometar 4,5/3,5cm. Tri X
by y_takanasi | 2007-08-10 17:31 | Orthometar4,5/35

名前

 マニアにとってレンズの名前はとても重要なものだ。ツァイスやライカのレンズが神秘的な響きを持つのも、その歴史とともに名の力に負うところが大きい。だから日本のメーカーのレンズは、その性能が良くてしかも手頃な価格にも拘らず、ネーミングの点で損をしている。せいぜいニッコールにその手の魔力が潜んでいるくらいで、キヤノンやらペンタックスやらはエアコンや洗濯機の名前と同じくらい、どうでもいいものに成り下がった。余り写真に興味のない人でも、ニコンのニッコールと云えば何か優秀な写真用レンズだと想像してくれるだろうに、キヤノンレンズやらペンタックスレンズでは、安っぽいコンデジにくっついているレンズ程度にしか思わないだろう。昔はこの2社だって、セレナーやタクマーと云うステキな名前を持っていたのに、どういうブランド戦略によってか会社名を製品に付けると云う愚を犯し、結果名前の持つ魔術的な力を失ってしまったのだ。

 シムラー、クリスター、トプコール、セコール、オリコール、ロッコール、ズイコー、ズノー、トーコー、ステート、ゼンザノン、フジノン、ヘキサノン、ヘキサー、タナー。かつては日本のレンズも美しい名前を持っていた。今ではその半分も生き残っていない。これでブランド力を持てと云われても無理な話だ。おかげさまで写真用品は徹底して家電化し、デジタル化がそれをいっそう押し進めた。もはやそこに光学的魔力を持ったガジェットとしての姿はほとんどみられない。我々としては、前世紀の遺物を弄ぶ他ないのである。
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Leica M3 + HEXAR 2/35. Kodak SUPER GOLD 400
by y_takanasi | 2007-08-09 21:29 | HEXAR2/35

Зоркий-3

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 フェド=ゾルキーシリーズの中で個人的に気に入ってるのが、ゾルキー3だ。ライカDIIの丸写しだったフェドを、無理やり等倍ファインダーにしてついでに低速シャッターもくっつけた変種である。ゾルキー4以降みたいにのっぺりしていなく、軍艦部と呼べる凸凹感が残っているのがまたデザイン的によろしい。機構面でもゾルキー3は秀逸だろう。バルナックライカのシンプルさを中核として、一眼式等倍ファインダーは驚くほど見やすいし、裏蓋はコンタックス式に取り外しできるから、フィルム装填もゲートの掃除も簡単だ。現代ではもうひとつ、無限遠チェックがしやすいと云う利点がある。ほとんどのカメラは調整が必要だから、これは結構、重要なことである。

 そんなゾルキー3、生産期間は短くて、台数が少ないのが難点である。どうやら出たばかりのM3にカッコだけでも似せるため、さっさとゾルキー4に切り替えてしまったのだ。もっとも似たようなことは、日本のメーカーもやったのだが。
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Zorkii-3 + Jupiter-8(2/50). Kodak SUPER GOLD 400
by y_takanasi | 2007-08-05 20:17 | JUPITER-8